今回は脂質異常症の食事療法について説明します。
脂質異常症の食事療法の注意点
1.適正なエネルギー量を摂る
皆さんはご自身の必要エネルギー量をご存知でしょうか?
必要エネルギー量は理想体重から算出することができます。
理想体重(kg)=22×身長(m)×身長(m)
必要エネルギー量(kcal/日)=理想体重(kg)×25~30
例)身長175cmの場合
理想体重(kg)=22×1.75×1.75=67.4
必要エネルギー量(kcal)=67.4×25~30=1685~2022
⇒必要エネルギー量は約1700~2000kcalとなります。
ただし、医師からの指示で必要エネルギー量が決められている場合はそちらを守る必要があります。
2.バランスの良い食事をする
ひと言にバランスの良い食事といっても、なかなかピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
バランスの良い食事とは5大栄養素である糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルが摂取できる内容の食事です。
まず、3つのグループを毎食そろえる事を心がけましょう。
まず、3つのグループを毎食そろえる事を心がけましょう。
①主食のグループ・・・ごはん、パン、めん等
主な栄養素は糖質でエネルギー源となります。
②主菜のグループ・・・肉、魚、卵、大豆・大豆製品
主な栄養素はたんぱく質と脂質で筋肉や血液のもととなります。
③副菜のグループ・・・野菜、海藻、きのこ類
主な栄養素はビタミンとミネラルで食物繊維も豊富に含みます。体の調子を整えるグループです。
食物繊維は腸内でコレステロールの吸収を妨げたり、体外に排出する働きがあるため積極的に摂りましょう。
プラスαとして、適量の果物、乳製品を摂取しましょう。
ただし、中性脂肪の高い方は果物の摂りすぎには注意が必要です。
ただし、中性脂肪の高い方は果物の摂りすぎには注意が必要です。
3.摂取する脂肪酸の種類に注意する
健康を維持するためには脂肪の摂取も必要です。質の良い脂肪を適量摂取することを心がけましょう。
脂肪酸は主に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、体に与える影響もそれぞれ異なります。
飽和脂肪酸
主に肉類の脂肪やバター、生クリーム等の動物性の脂肪に多く含まれ、飽和脂肪酸を多く摂りすぎると
血中のコレステロールを増やします。
血中のコレステロールを増やします。
不飽和脂肪酸
主に植物の油や魚の油に多く含まれ、コレステロールや中性脂肪を減らします。
不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、さらに多価不飽和脂肪酸は
n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸に分かれます。
一価不飽和脂肪酸の代表的な物はオリーブ油のオレイン酸で、LDLコレステロールを減らします。
ただし、同じ一価不飽和脂肪酸ですが、トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増やし、
HDLコレステロールを減らすといわれています。
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなど食用加工油脂に多く含まれます。
これらを多く含む菓子類などの摂取は注意が必要です。
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなど食用加工油脂に多く含まれます。
これらを多く含む菓子類などの摂取は注意が必要です。
n-6系の脂肪酸は紅花油や大豆油、コーン油に含まれるリノール酸が代表的です。
n-6系の脂肪酸は適量の摂取であればLDLコレステロールを減らしますが、摂りすぎると
HDLコレステロールまで減らしてしまうため摂りすぎには注意しましょう。
n-3系の脂肪酸の代表はα-リノレン酸でえごま油やしそ油に多く含まれます。
その他、魚の油EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)もn-3系の脂肪酸です。
その他、魚の油EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)もn-3系の脂肪酸です。
具体的には・・・
①献立は和食中心にし、油の摂りすぎに注意しましょう。
②動物性の脂肪はひかえ、植物性の油を使用しましょう。
③肉は脂身の少ない部位を選ぶようにし、魚料理を増やしましょう。
4.コレステロールを多く含む食品の摂りすぎに注意する
コレステロールは体内で合成される分と食事から吸収される分があります。
コレステロールの高い人は食事から摂取する量を300㎎/日以下が目標とされています。
コレステロールを多く含む卵やレバー、魚卵、いかなどは摂取量をひかえましょう。
5.砂糖や果物、アルコール類の摂りすぎに注意する
砂糖や果物、アルコールに含まれる糖質は摂りすぎると中性脂肪を増やします。
また、中性脂肪が高い人は脂肪肝になりやすく、過度のアルコール摂取は肝臓にも負担をかけます。
中性脂肪が高い人は、油の摂取量だけでなく糖質の摂りすぎにも注意が必要です。
以上の点を考慮して、血中脂質の量をコントロールし、動脈硬化の進行を防ぎましょう。
管理栄養士 陣内由美子